2010年12月16日木曜日

EHRの効用!?

EHR: Electric Health Record.

医療カルテをはじめ、保険情報や処方箋など種々の電子化された医療記録のこと。アメリカではオバマ政権が積極的に推進している。今回は医療関係の犯罪や医療ミス隠蔽の防止にEHRが役に立や否やという話。

ダイヤモンドオンラインに以下の不法処方箋薬販売の摘発記事がでていた。

http://diamond.jp/articles/-/10305?page=6

注目した点は、逮捕された個人販売主が商品である処方箋向精神剤をいかに「仕入れていた」かということ。仕掛けは単純。患者になりすまして複数の病院を掛け持ちすることでこの処方箋薬を十分に「仕入れていた」。記事によると、他医療機関での処方状況は分からないとのこと。

情報システム屋の純然たる技術的な立場からみると「何故こんなことが起こり得るのか」ため息がでる話である。情報を共有することで業務効率を上げ、コスト削減を狙う顧客のニーズに応え続けているこれら専門家から見れば当然であろう。もちろんこれは技術的な問題ではなく、むしろ法律的、制度的な問題であることは容易に想像がつくし、関係者の間では広く認識されていることである。

なぜ医療界で「情報共有」が難しいのか(許されないのか)。それは患者のプライバシー保護と所有権の問題に過ぎないと言える。即ち、情報所有者である医療機関がこれら情報の開示を、主に患者のプライバシー保護を目的として著しく制限するということである。これはとても必要なことである。ただ、今回の件に関しては弊害となっている。

数か月前にソフトバンクの孫氏と医療専門家が集まったネット公開座談会があった。そこで提起された問題が「医療情報は本来誰のもの(であるべき)か」。彼(ら)の主張は「患者個人の知的財産である」ということ。ふむ。この主張を前提とすれば、全ての情報が個別に統合され、「適切なアクセス管理」の下に行われる情報共有によって今回のような処方箋悪用は難しくなる。

実は処方箋薬密売闇ルートは日本だけの問題ではなく世界中の問題である。精神剤の他に精力増強剤の需要も高い。その主な供給源を情報共有によって弱めることができるということは医療情報共有の大きな動機付けにならないだろうか。

道のりは決して楽ではない。でも、やれることろからじわじわと広げていけば不可能ではないと信じる。提携・姉妹機関同士の共有から地域機関のそれへ。更に行政区単位、国、そして世界へ。規模の拡大が効果の相乗的拡大へつながることがかなり明確である。

それに加えて、従来の動機である処方の質の向上、コストダウンなど、これほど投資価値の高いものはないと思う。

0 件のコメント: