2011年9月30日金曜日

大学教授の生活(私編)

大学教授って世間の認知度は高いけれども、実際の生活については驚くほどあまり知られていないようですね。 参考になるならないは別として、私の大学教授としての生活を少し紹介しておきましょう。

 私はアメリカの北西部の片田舎にある中規模な大学(生徒数11000人くらい)の「教授」です。専門はIT関係で、現在、医療情報コースのアドバイザーとして経営・公共管理学部に在籍しています。学位(Ph.D.)はアメリカの大学(工学部)で取得しました。もちろん終身在職権(tenureship)も持っています。 

まず待遇ですが、月に12000米ドルくらいの基本給とその他諸々の副収入です。終身在職権で守られている基本的な契約は9ヶ月間(9月から翌年5月)で夏(6月から8月)の3ヶ月は「無職」状態です^^;「無職」状態とはおだやかではないと思う方が沢山いらっしゃるかもわかりませんが、実はこの夏の3ヶ月は「何をやってもいい」自由な時間なのです。研究に没頭するもよし、本を書くもよし、長期旅行するもよし。。。です。夏学期の講義を受け持つとこれは単独の講師契約となりますので、別に給料がでます。外部研究基金を獲得すると、通常夏の給料として1、2ヶ月分の(基本給以外の)給料が付いてきます。コンサルティング契約もいろいろな便宜上、夏期契約として結ぶことが多いです。そして、この夏の3ヶ月を「休暇」としても勿論問題ないのです。

 では、どのような1日なのでしょうか。実はこれ、とても個人差があって一言で簡単に説明することがとても難しいです。というのは会社と違って「出勤」という概念に相当するものがとても緩やかなのです。端的に言いますと、「講義」とオフィスアワーに穴を開けなければ「勤務怠慢」と見なされることはまずありません。私の場合、講義時間が週に7、8時間くらいでオフィスアワーが2時間くらいです。週に合計9、10時間くらいの拘束時間です。講義のスケジュールによりますが、だいたい週に2、3日しか大学へ行く必要がありません。

 こう言うと、「ああ、やっぱり気楽な稼業なのですね。。。。」と考えられがちですが、講義内容によっては準備や採点に費やす時間が多くなりますので一概に言いきれない場合が多いです。特に新任教員の場合、1時間の講義につきその倍以上の準備時間を必要とする場合が多々あります。するとどうなるでしょうか。講義関係(講義そのもの、準備、採点など)に、単純に倍の時間を費やしたとして、それにオフィスアワーを加えて週23ー26時間になります。これに研究と学内外に対する社会奉仕(「雑用」という言葉で片付ける教員の方が多いです)が加わりますので、週40時間以上の時間を取られることに納得して頂ける方も多いのではないでしょうか。

 でも、私の場合、やっぱり「気楽な稼業」なのです^^; 

要はこの講義関係に費やす時間を如何に必要最小限にするのかがポイントです。これも個人差が大きいのですが、普通はこんなことが考えてられています。
 1。同じ講義を多く受け持つことで、準備してしまったものを繰り返し使える。
 2。採点を必要とするもの(宿題、テスト、レポートなど)をあまり多く課さない。
 3。助手やアルバイトなどの助けを得易いような準備を心がける。

 「教授」になるとある程度の我侭も許されるので、私はこんなことに注意をしています。

1。準備が殆どいらない基本的な科目か自分の研究を多く語れる科目以外は受け持たないように立ち振る舞う。
2。採点は必要最小限。
 3。学生からの質問を最小限に抑えるために、具体的な問題を「学生と一緒に」解くようなスタイルで講義を進める。

 これで、オフィスアワー内の空いた時間で講義関連の殆どの仕事を片付けることができるようになりました。残りの時間は大好きな研究やその他のやりたい事に費やして人生を謳歌するという筋書きです。

 今の大きな課題は、この時間と今までの研究成果を利用した「一儲け」です。特許で儲けるのか、オンラインサービスで儲けるのか、それとも。。。考えるだけで結構楽しめます。